「日の出ずる国」ならぬ「樽の出ずる国」ー高まる「ジャパニーズウィスキー」人気

拡大する日本のプレミアムウイスキーの世界での需要と輸出

近年、日本のウイスキーは世界中で賞賛されている。特に、プレミアムウィスキーにおいては、国際的な賞を受賞したことで、世界中の消費者に高く評価されるようになった。
日本のウイスキーの95%以上は、国内で消費されているが、プレミアムウィスキーについては、輸出のシェアが拡大している。

日本のウイスキーの2016年の国内消費は12.9百万ケースで、2011年以来、年平均成長率7.8%の増加であった。一方、海外での日本のウイスキーの消費量は44万ケースで、5年間の年平均成長率は約24%と国内消費より高い。また、国内でのウイスキー消費量の6%がプレミアム以上であるのに対し、輸出される日本ウイスキーにおいてはプレミアム以上のシェアは3分の2を占める。 これには、同じ日本のウィスキーが輸出市場では、より高い価格で販売されているということもあるのだが、それ以上に海外市場において日本のウイスキーに対するプレミアムなブランドイメージを海外の消費者が持っていることの現れでもある。

日本市場でのウィスキー不足が証明しているのは、「日本産ウィスキーがかつてないほどの人気を博している。」ということだ。
by IWSRアジア担当アナリスト Tommy Keeling

 

異なる日本のプレミアムウイスキー戦略。国内と海外の大きくかけ離れた成長率の背後にあるもの

この現象から見えてくる2つのストーリーがあります。 国内市場は、ハイボールのような比較的安価なウィスキーの消費によって支えられている一方で、輸出市場は、海外のウィスキー愛好家によるプレミアムウィスキーの需要に支えられている。
さらに、日本のプレミアムウイスキーに注目したい。輸出市場では、5年間の年平均成長率は30%を超える成長を遂げている一方で、日本国内でのプレミアムウィスキーの市場は、横ばいもしくは、縮小している。
この状況は非常に対照的ではあるのだが、国内ウイスキーメーカーの現状と戦略が市場に反映された結果でもある。

実は、この現象、日本国内市場における需要の不足ではなく、供給不足によるものだ。 日本のウイスキー生産者は、国内市場を犠牲にして輸出市場に優先順位を付け、日本のウイスキーのイメージ戦略を行なって来ているのだ。 その結果、国内市場に供給不足、市場の縮小、停滞をもたらすことになった。実際、日本でのウイスキーの生産能力はスコッチウィスキーのそれよりもはるかに小さいのだ。

高まる需要、限られた在庫で高騰する日本のウイスキー

日本にはスコットランドの10分の1にあたるウィスキー蒸留所しかなく、必然的に熟成させるための施設も少ないため、メーカーとしては、国内の家庭用ウイスキーの消費を、低価格帯へと傾けざるを得ない。
日本のウイスキーの需要の急速な成長は、生産者が、生産を増やすための十分な時間を与えないほど早いものであった。そのため深刻な在庫不足に陥った。当初、この問題は、特に熟成期間の長いウィスキーに限ったものであったが、徐々に、全てのウィスキーに対する需要過多、価格の上昇をもたらした。現在、日本産のウィスキーは、同品質のスコッチと比較してもよりプレミアムな値段が付いている。例えば 12年ものの山崎は100ドル前後、18年ものに関しては240ドル前後、25年ものは、(もし、在庫が見つかればの話ですが)なんと3,000ドル以上で販売されている。日本のウイスキーメーカーは、在庫不足への対応を余儀なくされ、しばらく熟成期間の決まっていないウィスキーを紹介することで対応してきましたが、そのようなウィスキーにさえも高価な価格がついている。山崎リザーブの小売価格は約$60である。

各メーカーは2015年頃から生産能力を増強し始めたため、オリンピック開催の2020年頃には、十分な在庫が確保できるでしょう。
その間、日本のウイスキーの総販売量は伸び悩むことになるのだが、不足の一部はスコッチウィスキーと米国のウイスキーを国内でブレンドですることでしのげると思われる。

世界市場の中での日本ウイスキーの現状

日本のウイスキーの上位5つの輸出市場は、台湾、フランス、米国、免税店、そして、中国で、近年、すべての国での輸出量が急成長を遂げている。サントリー角瓶は、ハイボールの消費量が高い台湾でよく売れており、日本の食文化の及ぼす多大な影響が垣間見える。 世界では、最も洗練されたシングルモルトウイスキー市場の中で、ハイエンドのシングルモルトとブレンドの市場が現在急成長しているが、プレミアム以上のセグメントでの成長は、在庫不足のために目立った変化はない。
世界最大のスコッチ市場であるフランスにおいて、日本のウィスキー市場は開拓されているが、 トップブランドであったサントリー社の流通量があまりにも限られているため、ニッカがフランスでの主要なブランドとなった。

出典; the IWSR magazine/ 2018年2月号 「The land of the rising dram」

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